UTMとセキュリティソフトの違いは?両方必要な理由も解説!
悪意のある第3者による攻撃への対策として注目が集まっているUTM。
現在、多くの企業・個人で使用されているシステムにセキュリティソフトがありますが、導入したらUTMはもう必要なくなるのでしょうか。
導入すれば不要になると考えている方もいるようですが、脅威からしっかり保護したいのであれば両方必要です。
本記事では、UTMとセキュリティソフトの違いやメリット、両方必要な理由などについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
UTMとセキュリティソフトの違いとは?
UTMとは、これまで複数の機器で分散して行っていた対策を、複数の機能が搭載された1つの機器で集中的に管理して対策を行う手法のことで、日本語に訳すと「統合脅威管理」です。
セキュリティソフトにおける機能性の違い
機器に搭載されている機能としては、下記の内容が挙げられます。
- ファイアウォール
- アンチウイルス
- アンチスパム
- Web(URL)フィルタリング
- IDS(不正侵入検知システム)
- IPS(不正侵入防御システム)
すでに悪意のある第3者による攻撃への対策としてセキュリティソフトを導入している場合、さらにUTMを導入しなくてもよいと考えている方もいることでしょう。
しかし、どちらも今日からのセキュリティ対策ではありますが、まったく同じではありません。
2つがどう違っているかを理解してもらうためにも、ここでは、セキュリティソフトとの違いについて解説しています。
コラム:UTMとは?導入のメリットやデメリットを詳しく解説!
仕組み上の違い
UTMとセキュリティソフトの2つがどう違っているかですが、そもそも2つは根本的に違っています。
UTMとは、搭載されているいろいろな対策機能によって脅威の出入を防ぎ、脅威を含まないものだけ出入りを許す仕組みのハードウェアです。
そしてハードウェアとは、物理的・具体的な形状を持つ装置。例えばパソコン本体もハードウェアですしマウスやキーボード、プリンター、複合機といった目に見えて触れることができる物理的な存在の機器・装置です。
それに対して、セキュリティソフトはソフトウェアです。
セキュリティソフトがどんなソフトウェアなのかは後で説明しますが、ソフトウェアは物理的・具体的な形状を持っていません。
例えば、プログラムやアプリケーションのようなものがソフトウェアです。
ソフトウェアは電子的な形で存在しています。
物理的・具体的な形状を持つ装置であるUTMは、脅威から守るものに設置することで役目を行います。
しかし、物理的・具体的な形状を持っていないセキュリティソフトは脅威から守るものに設置することはできません。
電子的な形で存在しているので、脅威から守るもののなかに入って役目を担います。
そのため「脅威から守るものの外で動作する」、「脅威から守るものの中で動作する」という点で2つは違っています。
UTMとセキュリティソフトにおけるそれぞれの役目の違いを具体的に解説!
脅威から守るものの外で動作するのがUTM、脅威から守るものの中で動作するのがセキュリティソフトです。
2つは根本的に違っていますから、脅威に対する役目もまったく違っています。
それぞれの役目の違いを具体的に解説するので、ご覧ください。
セキュリティソフトの役目
悪意のある第3者の攻撃の防御・脅威の検知と排除を目的とした単一のソフトウェア、もしくは複数の異なる機能を持つソフトを組み合わせた総合ソフトウェアがセキュリティソフトです。
つまり脅威から守ってくれるソフトウェアの総称で、役目別の名称で呼ばれることもあります。
例えば、パソコン内のウィルスの検出や検出したウィルスの駆除、ウィルスが駆除できない場合は感染元の隔離・削除を行うソフトはアンチウィルスソフトとかウィルス対策ソフト、ワクチンソフトなどと呼ばれています。
他には、悪意のある第三者からの攻撃の防御するシステムはファイアウォールソフトです。
また、マルウェアを検知・除去するシステムはアンチウイルスソフトなどと呼ばれています。
従来は、対策別に特定の機能を持ったソフトが個別に提供されており、それを導入するのが一般的でした。
しかし近年は、複数の機能を搭載した総合ソフトが提供されているため、総合ソフトを導入すればそれだけで複数のセキュリティ対策が行うことが可能です。
物理的・具体的な形状を持っていないセキュリティソフトは脅威から守るもののなかに入って対策を行います。
このセキュリティソフトが脅威から守るものとは、ソフトをインストールしたもの。つまり、ソフトをインストールしたパソコンならパソコンを脅威から守るもの、スマホやタブレットならそれらを脅威から守るのが役目ということです。
そのため、悪意のある第3者からの脅威がパソコン内部に入ってこないようにする役目のソフトもありますが、ほとんどがなかに入ってしまってから行います。
UTMの役目
それに対して、UTMは、外から入ってくる脅威や中から脅威が外に出ようとするのをブロックします。
物理的・具体的な形状を持つ装置であるUTMは、脅威から守るものに設置することで役目を担います。
どこにどうやって接続するのかは後で解説しますが、UTMが脅威から守るものはパソコンを含めた、内部のネットワークとその内部ネットワークと繋がっているすべてです。
どんな脅威の侵入・拡散・流出が防げるかは機器に備わっている対策機能によって異なりますが、ネットワークの出入口を監視して、脅威の出入りをする役目をするのがUTMです。
UTMとセキュリティソフトの比較表!
UTMとセキュリティソフトの違いについて何となく理解してもらえたと思いますが、より違いをわかりやすくするためにも、下表で比較しました。
UTM | メリット | ・さまざまな攻撃を一元的に防御できる ・導入が簡単 ・対策の運用・管理が楽 ・導入コストが低減できる |
デメリット | ・対策したいセキュリティの選択ができない ・機器に不具合が発生したら、社内全体の対策がストップする ・社内ネットワークを経由しない脅威への対策ができない(USBメモリをPCに直接刺す等) |
|
セキュリティソフト | メリット | ・不具合が発生しても対策ができなくなるのは、そのパソコンだけ ・社内ネットワークを経由しない脅威の侵入(USBメモリの接続等)に対応できる ・社内ネットワーク以外の場所の対策が可能 |
デメリット | ・対策すべき攻撃によって必要なものが異なる ・それぞれのパソコンで導入が必要 ・OSが非対応などの理由からインストールすることのできないことがある ・PC内で動作する為、除去しきれない脅威が多い |
UTMは家でいう出入り口での対策のため、機器を導入するだけで全体のセキュリティ対策ができます。
それに対して、ソフトはそれぞれの部屋で鍵の導入が必要となるため、その分、導入費用やそれぞれで鍵の管理・保守しなければなりません。
UTMとセキュリティソフトを使えるようにするまでの流れを解説!
役目が 違っているUTMとセキュリティソフトですが、どちらも導入するだけでは使えません。
ここでは、それぞれ使えるようにするまでの流れを解説します。
UTMを使えるようにするまでの流れ
UTMにはいくつかの対策機能が備わっていますが、製品によって備わっている機能は異なります。
そのため、導入するUTMはよく調べて選定する必要があります。
その際に重要なのは、使用する機器だけでなく、サービス提供事業者も含めて選定すること。選定については、下記内容を基準とするとよいでしょう。
- 必要とする機能があるか
- 基本スペックはどうか
- 価格は妥当か
UTMはハードウェアなので取扱店・販売店・代理店などで購入可能ですし、リースする方法もあります。
内部ネットワークに脅威が入ってくることや内部ネットワークから脅威が出ていくことを防ぐことが役目ですから、UTMは外と内の入り口であるルータと内部ネットワークの間に設置します。
その設置は自分で行うこともできますが、設置場所を間違えていたら役目を行えません。
間違えないようにするためにも、事前に接続図を作成しておくことをおすすめします。
接続図とは、設置されている機器の全体的な接続をわかりやすく表現した設計図のこと。自分たちで行うのが難しいようなら、設置も頼んだ契約を結んでおくか、専門業者に設置を依頼しましょう。
また、設置したら、初期設定が必要になります。
この初期設定に誤りがあると、社内ネットワーク全体に影響が出る可能性があります。
初期設定はマニュアルを見ながら自分たちですることも可能ですが、自分たちで行うのが難しいようなら、こちらも専門業者に頼んだ方が安心です。
UTMに関するご相談はぜひ、株式会社じむやまでお問い合わせください。
セキュリティソフトを使えるようにするまでの流れ
一言でセキュリティソフトといっても、各メーカーからさまざまな製品が出ています。
そのため、セキュリティソフトの方もよく調べて選定する必要があります。
セキュリティソフトは、下記内容を選定基準にするとよいでしょう。
- 必要な機能が備わっているかどうか
- 更新頻度
- 使用可能端末数
必要な機能が備わっているかどうかは、各メーカーの公式サイトで調べることも可能。使用ユーザーの多いものであれば、口コミや比較サイトで情報収集ができます。
必要としている機能を搭載しているソフトが複数あったら、更新を頻繁に行なっている方を選びましょう。
頻繁に更新を行っている方が、多様化する脅威に備えることができます。
また、製品によりライセンス当たりの使用できる端末数が違っているので、価格・搭載機能が同じ場合は、使用可能端末数に注目しましょう。
選定に迷う場合は、トライアル版を活用するというのもひとつの手段です。
UTMの方は試してみて選ぶということはできませんが、セキュリティソフトの方はトライアル版があれば原則無料で試せます。
ソフトウェアであるセキュリティソフトは、データの入っているUSB・CD・DVDの購入か、ネットでダウンロード版やライセンスの形で購入することが一般的。そして購入後、データをパソコンにインストールすることで使えるようになります。
初めてセキュリティソフトを使う場合はソフトをインストールするだけでよいですが、インストールするパソコンにすでに別のセキュリティソフトが入っている場合は、そのソフトのアンインストールが必要です。
パソコンに複数のセキュリティソフトが入っていると、OSの動作が不安定になるなど、問題が発生する可能性があることが理由です。
UTMとセキュリティソフトのどちらが必要?両方が必要な理由とは?
UTMとセキュリティソフト、どちらを導入しても脅威に備えることができます。
【結論】両方とも必要
両方導入するとなると、それなりに費用がかかってしまいますから、導入するのならどちらか片方にしたいですよね。
UTMであればさまざまな攻撃を一元的に防御できますし、セキュリティソフトであれば社内ネットワーク以外の場所の対策が可能です。
どちらも魅力的ではありますが、どちらも、「もう古いのでは?」「必要ないのでは?」といった声も少なからずあるようです。
結論からいうと、UTMを導入してもセキュリティソフトも導入した方がいいでしょう。
UTMとセキュリティソフトは本当にもう古いのかを解説した後、どちらも導入すべき理由を解説します。
UTMとセキュリティソフトは本当にもう古いのか?
悪意のある第三者からの脅威の備えとして必要という意見がある一方で「UTMはもう古い」「セキュリティソフトはもう必要ない」という意見があるのは事実です。
しかし、どちらも古くないですし、脅威に備えるためには必要です。
実際に、そうした意見がある一方でどちらも現在も活用されています。
特にUTMは、導入率がこれからも増えていくと予測されています。
「古い」「必要ない」と言われているのは、UTMの方は導入が向いている企業と向いていない企業があることが背景として理由にあるようです。
例えば、業務形態に合わせてカスタマイズしたい企業は、オールインワンでセキュリティ対策を行うUTMは導入に向いていません。
オールインワンで提供するUTMは拡張や個別のカスタマイズ性が低いからです。
セキュリティソフトの方も導入に向き・不向きがあることが理由。ちなみに、セキュリティソフトの方は、インターネット利用がほとんどない企業やより幅広い防護を望んでいる企業に不向きです。
UTMとセキュリティソフトの違いを理解したうえでどうするべきか考える!
脅威からの対策に、UTMとセキュリティソフトの両方が必要な理由は、悪意のある第3者からの攻撃をブロックする場所が違うため。
UTMを導入したからといって、すべての攻撃に対して完璧に防御できるわけではありません。
また例えば、家のなかに持ち込まれた脅威からの攻撃や、家の外から受ける攻撃への対策はUTMでは不可能です。
そのため、セキュリティソフトはUTMでブロックできなかった脅威からの備えとなります。
UTMもセキュリティソフトの方も導入に不向きの企業があると解説しましたが、それはどちらか単独での導入の場合です。
そのため、万全な対策をしたいのであれば、出入り口と各部屋での2段の備えとして両方の導入を検討しましょう。
さいごに|UTMとセキュリティソフトの違いを理解しよう!
UTMとセキュリティソフトは、できる対策は同じでも、異なっていることも数多くあります。
両方を導入するとなると、相応にコストがかかりますが、そもそも悪意のある第3者からの攻撃は留まることなく常に脅威に晒されています。
そのため、それぞれの違いを理解して、内外の脅威から保護できる環境を構築しましょう。
UTM
最新記事 by 堀田直義 (全て見る)
- 【2024年最新版】UTMのリース料金の相場は?購入価格も紹介! - 2024年10月5日
- UTMとは何か?仕組みから導入方法までわかりやすく解説! - 2024年9月19日
- UTMをバーチャルボックスで簡単構築!企業セキュリティの強化方法とは? - 2024年9月8日
- UTMのプロバイダの選び方で何かが変わる?セキュリティの基本から解説! - 2024年9月7日
- 【FortiGate】UTMプロテクション版とは?特徴や口コミから徹底考察! - 2024年9月3日