UTMにセキュリティ対策ソフトはいらない?結論:必要です
「UTMがあるなら、もうウイルスソフトはいらない?」
「社内のパソコンすべてにセキュリティ対策ソフトを入れるのは手間…代わりにUTMで十分じゃないの?」
そんな疑問や悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
確かにUTMは強力なセキュリティ機能を持っていますが、それだけで万全とは言い切れません。
本記事では、なぜUTMがあってもセキュリティ対策ソフトが必要なのか?その理由をわかりやすく解説していきます。
ぜひ、最後までご覧ください。
目次
UTMにセキュリティ対策ソフトはいる?いらない?
UTM(統合脅威管理)は、企業のネットワーク全体を守る強力なセキュリティツールですが、それだけで十分なのか?というと答えは「いいえ」です。
UTMとセキュリティ対策ソフトは、それぞれの役割が異なるため、併用が基本になります。
UTMは、ネットワークの出入口での通信を監視・制御しウイルスやマルウェア、不正アクセス、迷惑メールなどをブロックする門番のような存在です。
つまり、外部からの脅威を組織全体に入れないようにする防衛ラインとして機能します。
しかし、端末内部での感染や、社員が誤ってウイルス付きファイルを開いた場合などには対応しきれません。
一方、セキュリティ対策ソフトでは、各パソコンやスマホといった端末そのものを守ります。
仮にUTMをすり抜けてマルウェアが侵入しても、エンドポイントで検知・隔離することで被害の拡大を防ぎます。
また、持ち出しパソコンやリモートワーク端末など、社内ネットワークに常時つながっていない端末に対してはUTMの保護が届かないため、端末側のセキュリティ対策が不可欠になってきます。
UTMだけでは、「入口」は守れても「中」や「持ち出し先」まではカバーできません。
安全な環境を保つためには、UTMとセキュリティ対策ソフトを組み合わせることで多層防御を構築することが重要です。
どちらか一方に頼るのではなく、両方を適切に導入・運用することが、現代のサイバー攻撃に対抗する有効な手段だといえます。
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セキュリティ対策ソフトは必要
UTMがあれば十分だから、端末ごとのセキュリティはいらないのでは?という声もありますが、それは大きな誤解です。
ネットワークの出入口を監視・防御するものであり、内部の端末まですべてを守ることはできません。
実際、マルウェアやウイルスの多くは、メールの添付ファイルやUSBメモリなどを通じて直接端末に入り込むケースが多く、UTMでは防ぎきれない部分が存在します。
リモートワークの普及により、社内ネットワークに常時接続されていないパソコンやスマートフォンが増えました。
これらの端末はUTMの保護範囲外で使われることが多く、セキュリティ対策ソフトが入っていなければ、攻撃者にとって格好の標的となります。
仮に、「セキュリティはいらない」と考えてセキュリティ対策ソフトの導入を怠ると、UTMをすり抜けた脅威が内部で自由に動き回る状態となり、被害が拡大するリスクが高まります。
エンドポイントでの防御がなければ、被害に気づかないまま情報漏洩や不正アクセスが進行する可能性も否定できません。
つまり、UTMは第1の壁に過ぎず、本当に安全な環境を実現するには、各端末にセキュリティ対策ソフトを導入して第2の壁を築くことが不可欠です。
セキュリティはいらないという考えは、現代の高度化したサイバー攻撃においては非常に危険であり、組織や個人の大きな損失につながる恐れもあります。
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セキュリティ対策ソフトの重要性
サイバー攻撃は大企業が対象と思われがちですが、実際にはセキュリティ対策が甘い個人事業主や小規模事業者こそ、狙われやすい存在です。
大企業に比べて守りが手薄であることから、攻撃者にとって入り口が開いたままのような状態と見なされてしまうのです。
下記のような業務形態が該当しますので注意してください。
- 顧客の個人情報や業務データをクラウド上で管理している
- テレワークや出先での作業が多く、公共Wi-Fiを利用する機会がある
- 取引先とのメールやファイルのやり取りが多い
- 自宅や小規模オフィスのネットワークをそのまま業務に使用している
このような環境では、ウイルス感染やフィッシング詐欺、不正アクセス、データ漏えいといったリスクが常に潜んでいます。
ひとたび被害が発生すれば、金銭的損失だけでなく信頼の低下や業務停止といった深刻な影響をもたらします。
セキュリティ対策ソフトは、会社の情報資産を守るうえで重要です。
UTMにセキュリティ対策ソフトがいらないといわれている理由を考察!
UTMがあればセキュリティ対策ソフトはいらないという一部の意見で言われている背景には、いくつかの誤解や過信があると考えられます。
まず、UTMの役割について十分に理解されていないことが挙げられます。
UTMは多機能なセキュリティ機器であり、ファイアウォールやアンチウイルス、不正侵入検知などを一元的に管理できるため、これ一台ですべてを守れるという印象を持たれがちです。
特に中小企業やITに詳しくない担当者によっては、UTMの導入で全体のセキュリティ対策が完結したと感じてしまうケースも少なくありません。
その結果、コスト削減や運用負担の軽減を目的として、端末ごとのセキュリティ対策ソフトを省こうとする傾向があるのです。
また、UTMにはウイルス対策機能が搭載されている製品も多いため、同じような機能があるなら重複して導入する必要はないのでは?と考える方もいます。
しかし実際には、ウイルス対策はネットワーク上でのスキャンに限定され、端末内部での挙動監視やファイルアクセスの監視は行えません。
さらに、セキュリティ対策ソフトの導入にはコストや運用負担が伴います。
すべての端末にインストールし、アップデート管理や定期的なスキャンを行うため、「手間を減らしたい」「費用を抑えたい」という意識がUTMだけでいいのでは?という考えを助長しているのです。
しかし、こうした理由からセキュリティ対策ソフトを省くのは危険。UTMとは役割が異なり、お互いに足りないところを補い合って全体としてよりよい状態にする相互補完によって最大の効果を発揮できます。
OSに標準搭載のセキュリティ機能が充実
近年では、WindowsやmacOSなどのOSに標準搭載されているセキュリティ機能が大幅に強化されています。
例えば、Windows 10以降に搭載されている「Windowsセキュリティ(旧:Windows Defender)」。ウイルスやマルウェアのリアルタイム保護に加えてファイアウォール機能やランサムウェア対策、アプリケーションの制御機能など、総合的なセキュリティ対策を提供しています。
その性能は年々向上しており、サードパーティ製のセキュリティ対策ソフトと比較しても一定の評価を受けるまでになっています。
しかし、だからといって「もうセキュリティ対策ソフトはいらない」と判断するのはよくありません。
OS標準の機能はあくまで基本的な保護にとどまり、高度な標的型攻撃やゼロデイ攻撃への対応力には限界があります。
また、細かい設定やログの確認、脅威の詳細分析など、企業利用や高度なセキュリティ管理が求められる場面では、サードパーティ製ソフトの方が優れた機能を持っていることも多いです。
さらに、標準機能はOS依存であり、使用環境やネットワーク構成によっては十分な保護が行き届かないこともあります。
業務端末やリモート環境では多層的な防御が不可欠であり、エンドポイントのセキュリティを強化するためにも、専門のセキュリティソフトの導入が推奨されます。
OSの進化は頼もしいものの、現代の複雑化・巧妙化するサイバー攻撃に立ち向かうためには、標準機能+αの対策が必要です。
周囲の「いらない」という意見に感化されている
「UTMがあるからセキュリティ対策ソフトはいらないよ」「OSの標準機能だけで十分じゃない?」そんな声を、周囲から聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
確かに、最近はUTMやOS標準のセキュリティ機能が進化し、一定の保護性能を備えるようになっています。
そのため、わざわざセキュリティ対策ソフトを導入しなくてよいと考える方が出てきても不思議ではありません。
しかし、こうした周囲の意見に安易に感化されるのは大変危険。セキュリティ対策は、環境や利用状況によって最適解が変わるものであり、他人にとって十分でも自分の環境では不十分なことが少なくありません。
仕事で使用する端末や個人情報・機密情報を扱う環境では、わずかな油断が大きな被害につながる可能性もあります。
「みんな入れてないから」「知人が困っていないから」という理由で判断してしまうと、気づかないうちに脅威にさらされている可能性すらあります。
サイバー攻撃は見えにくく表面化しないまま進行するケースも多いため、問題が起きてない=安全ではないことを理解する必要があります。
正しいセキュリティ対策は、周囲の意見に流されるのではなく自社の使用環境やリスクレベルを見極めたうえで判断することが大切です。
安易にいらないと決めつける前に、必要性を冷静に見直すことが被害を未然に防ぐ最善の一歩となります。
ネットワーク通信の暗号化技術が向上している
インターネットの通信は、近年大きく進化しています。
SSL/TLSによる通信の暗号化は一般化し、多くのウェブサイトが「htpps」で始まるセキュアな接続を採用しています。
メールやチャットアプリ、オンライン決済など私たちが日常的に使うサービスでも、通信内容が第3者に見られないよう暗号化されるのが当たり前になってきました。
こうした技術によって、もう通信内容が安全なら、セキュリティ対策ソフトいらないのでは?と感じる方もいるのではないでしょうか。
しかし、通信が暗号化されても、全ての脅威を防げるわけではありません。
マルウェア付きのファイルが暗号化された通信でダウンロードされた場合、そのファイル自体は安全に届いてしまいます。
暗号化は盗み見には強いですが、中身の安全性までは保証してくれないのです。
また、攻撃者側も暗号化通信を悪用するケースが増えており、フィッシング詐欺サイトや偽装メールも一見すると安全そうに見えるURLを使ってユーザーを騙してきます。
さらに、近年のサイバー攻撃はますます巧妙かつ多層的になっており、従来の常識が通用しない場面も増えています。
暗号化された通信だけでは防ぎきれない「内部感染」「ゼロデイ攻撃」などに備えるには、やはりエンドポイントでのセキュリティ対策が必要不可欠。暗号化技術の進歩は心強いものの、それだけで安心とは言い切れません。
総合的な防御体制を整えるうえで、セキュリティ対策ソフトの役割は重要なのです。
WindowsOSのセキュリティがあれば市販のセキュリティ対策ソフトは本当にいらない?
Windowsには「Windows セキュリティ(旧:Windows Defender)」が標準搭載されておりウイルス・マルウェア対策、ファイアウォール機能、アプリケーション制御など基本的なセキュリティ機能はひととおり揃っています。
そのため、市販のセキュリティ対策ソフトはもう必要ないのでは?と考える方もいます。
たしかに、一般的なネット利用やメールのやり取り程度であれば、Windows標準のセキュリティ機能でもある程度の防御は可能です。
しかし、標的型攻撃やフィッシング詐欺、ゼロデイ攻撃のような高度で巧妙な脅威への対応力では、市販のセキュリティソフトのほうが優れているケースが多いのが実情です。
また、セキュリティソフトには迷惑メール対策、ウェブフィルタリング、ネットバンキング保護、脆弱性診断など多層的な保護機能が統合されていることが一般的。仕事や個人情報を多く扱うユーザーにとっては、市販ソフトによる強固なセキュリティ対策が安心感につながるでしょう。
標準機能を過信せず、自分の利用環境に合った対策を見極めることが大切です。
WindowsOSのセキュリティソフトの仕組み
Windows OSには「Windows セキュリティ(旧称:Windows Defender)」と呼ばれる統合型のセキュリティ機能が標準で搭載されています。
この機能はWindows 10以降で特に強化されており、外部の市販セキュリティ対策ソフトがなくても一定のウイルス・マルウェア対策が行えるようになっています。
Windowsセキュリティの仕組みは、リアルタイム保護を中心としています。
パソコンに保存されたファイルやインターネットからダウンロードされたファイルなどを自動でスキャンし、不審な動作やウイルスの兆候があれば即座にブロック・隔離することで被害を未然に防ぎます。
また、定期的なスキャン機能やクラウドベースの脅威分析機能も備えており、新たな脅威にも迅速に対応できる体制が整えられています。
ファイアウォールによる外部通信の制御やアプリとブラウザーコントロールによる有害サイトやアプリのブロック、ランサムウェア対策のためのコントロールされたフォルダーアクセスなど、多機能な保護を可能にしています。
さらに、マイクロソフトが提供する組織のシステムから収集したセキュリティ関連のログや情報を分析し、脅威を早期に発見・対応する仕組みでもあるセキュリティインテリジェンスによって、世界中の脅威情報を集約・分析し、OSに迅速に反映する仕組みも整っています。
これは市販ソフトにも匹敵するレベルの検知精度といえるでしょう。
ただし、このように機能が充実してきたとはいえ、ビジネス用途や高度なセキュリティ管理を必要とする場面では、より詳細な設定や機能を持つ市販のセキュリティソフトの導入も検討すべきです。
標準機能の仕組みを理解したうえで、補完する形で使うのが理想的です。
【結論】UTM導入時でも絶対に必要です
UTMは強力なネットワークセキュリティ機器であり、外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぐ入り口対策として非常に効果的です。
しかし、だからといってエンドポイント、各パソコンやスマートフォンにセキュリティソフトがいらないということにはなりません。
なぜなら、UTMはネットワーク上の脅威をブロックする一方で、端末内部の感染や人的ミスによるウイルス実行など、内部からのリスクには対応できないため。社員が外部のUSBを使ってマルウェアを持ち込んだり、フィッシングメールの添付ファイルを開いたりした場合、UTMをすり抜けて感染が拡大する恐れがあります。
リモートワークや社外持ち出しの端末など、ネットワーク外で使用されるデバイスにはUTMの保護が届かないケースも多くあります。
こうした状況を想定すれば、UTMとセキュリティソフトの併用による多層防御こそが、安全性を高める鍵となります。
つまり、UTMを導入していても、各端末での防御策は必須です。安心を得るためにも、セキュリティ対策ソフトの併用は絶対に必要なのです。
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セキュリティ対策ソフトだけでは対策不可能!UTMと併用してサイバー攻撃を防ぐことが重要!
セキュリティ対策ソフトは、パソコンやスマートフォンなどの端末(エンドポイント)を守るために非常に有効なツールです。
ウイルスやマルウェアの検出、ユーザーに関する情報をユーザーが意図しない形で収集し、それを情報収集者である特定の企業・団体・個人等に自動的に送信するマルウェアのブロック、リアルタイム監視など多彩な機能を備えています。
多くの脅威からユーザーを保護してくれます。
しかし、セキュリティ対策ソフトでは守り切れない部分があるのも事実。組織のネットワーク全体を標的にした不正アクセスや大量の迷惑メール・攻撃トラフィックを防ぐには、ネットワークの入り口での対策が必要です。
ここで活躍するのがUTM(統合脅威管理)です。
UTMはファイアウォール、ウイルスフィルタ、不正侵入検知などの複数のセキュリティ機能をまとめて持ち、ネットワークの出入口を守る門番の役割を担います。
つまり、サイバー攻撃に強い体制を築くには、端末を守るセキュリティ対策ソフトとネットワークを守るUTMの両方を併用する多層防御が不可欠だということ。一方だけに頼るのではなく、それぞれの強みを活かすことでより頑丈で安心できるセキュリティ環境が実現できます。
UTMの多層防御
UTM(統合脅威管理)が注目される理由に多層防御を1台で実現できることが挙げられます。
そもそも多層防御とは、ファイアウォールやアンチウイルス、スパムフィルタ、侵入検知(IDS)・防御(IPS)といった複数のセキュリティ機能を段階的に重ねることでひとつの防御をすり抜けた脅威も次の層で検知・遮断できる仕組みです。
外部からの攻撃がファイアウォールを突破しても、その後のアンチウイルスやIDSが異常を感知してブロックするといった対応が可能になります。
こうした防御の重なりは、近年多様化・巧妙化しているサイバー攻撃に対して非常に有効です。
UTMとセキュリティソフトを併用するべき理由
UTMとセキュリティソフトを併用するべき理由は、守る範囲が異なるため補完関係にあるためです。
UTMはネットワーク全体を守るセキュリティ機器で、外部からの不正アクセスやウイルスの侵入を会社の出入口で防ぐ役割を担います。
一方、セキュリティソフト(ウイルス対策ソフト)は、各パソコンや端末内部に侵入してしまった脅威を検知・駆除する最終防衛ラインのような存在です。
どちらか一方だけでは攻撃のすべてを防ぎきることは難しく、UTMをすり抜けたウイルスが端末内で活動するリスクもあります。
そのため、UTMとセキュリティソフトを併用することで、外からの侵入と内側での感染の両方に対応でき、強いセキュリティ体制を構築できます。
詳細については、こちらの関連記事をご確認ください。
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さいごに|セキュリティ対策ソフトは必要!
今回は、UTMにセキュリティ対策ソフトはいらないのか?というテーマで解説してきました。
UTMは、外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぐネットワークの守りを担いますが、それだけで万全とはいえません。
なぜなら、UTMをすり抜けた脅威が社内のパソコンに侵入する可能性があるため。そこで重要になるのが、各端末を守るセキュリティ対策ソフトの存在です。
ファイルやメールを監視し、内部でのウイルス感染や情報漏洩を防ぎます。
つまり、UTMとセキュリティ対策ソフトは、それぞれ異なる層で脅威に対応する多層防御の要だということ。両者を併用することで、より広範で確実なセキュリティ対策が実現できるでしょう。
現代の多様化・高度化するサイバー攻撃に備えるには、UTMとセキュリティ対策ソフトの併用は欠かせません。
中小企業や個人事業主にとっても、大切な情報資産を守るうえで、両者を組み合わせた防御体制は必須といえるでしょう。
UTM
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